好きだと、言って。①~忘れえぬ人~
「直也、これ、もう一度冷凍庫に入れたら、食べられるかな?」
アイスのカップをチャプチャプ振る私に、直也は微かに眉根を寄せた。
これは、アイスが食べられるかどうか真剣に悩んでいる顔。
私は、クスクス笑いが止まらない。
「う~ん。食べられはするだろうけど……味は保証できないな」
「ふふふ。もったいないから、やってみよう~っと。なんて言っても、期間限定レア商品。食べなきゃ、もったいないオバケがでてきちゃう」
「……頼むから、腹、壊さないでくれよ」
「平気平気。胃腸だけは、丈夫だから私!」
こんなふうに、二人ならんで手を繋ぎ。
他愛ない会話に安らぎを感じて。
一緒に、歩いて行けるはずだって。
そう、
私は心から、本気で信じていた――。