好きだと、言って。①~忘れえぬ人~
『もしも明日世界が滅ぶなら』
静かに目を閉じ、自分の心に問いかけてみる。
私が、世界最後の日に側にいたい人――。
ああ……。
私って、なんて救いがたいんだろう。
今になって。
明日は、直也のご両親に会いに行くという、今になって……。
「……亜弓の、バカチン」
絞り出した言葉が、しんと静まりかえった部屋の中に、ポツリと落ちていく。
浮かんだのは。
私の脳裏に、浮かんだのは。
直也じゃなかった――。