好きだと、言って。①~忘れえぬ人~


プルルルル――。


プルルルル――。


鳴り響く着信音に、私は意味もなく胸騒ぎを覚えた。


お盆の、それもこんな早朝に、電話を掛けてくる人間なんて――。


「亜弓、起きているんだろう? 電話が鳴ってる」


「うん……」


もぞもぞと、足下に置いてあるショルダーバックをまさぐり、携帯電話を取り出し着信窓に視線を走らせる。


『佐々木浩二』


その名前を見た瞬間、思わずブチリと切ってしまった。


「どうした?」


「うん、ただの間違い電……」


そこまで言ったところで、また着信音が鳴り出した。

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