好きだと、言って。①~忘れえぬ人~


着信窓には、


『佐々木浩二』の文字。


何の用よ。


私は、当分アンタとは口をききたくないんだからっ!


もう一度、ブチン! と力を込めて切ってやる。


でも――。


すぐさま再び、着信音は鳴り出した。


な……によ?


いったい、なんだって言うの?


プルルル――。


プルルル――。


尚も鳴り続ける着信音に、ドキドキと鼓動が早まっていく。


次第に大きくなる胸騒ぎに、私は動くことも出来ず、


ただ、うるさいくらいに鳴り響く着信音を聞いていた。


「亜弓……、出た方がいい。その鳴らしかたは尋常じゃない」


直也の声に、ビクリと肩が震える。

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