好きだと、言って。①~忘れえぬ人~
あれは、そう。
高校の入学式だった。
抜けるような、青空の下。
ハラハラと、薄桃色の花弁が雪のように降りしきる満開の桜並木の中で。
私は、ポツリと佇む一人の女生徒を見かけた。
一目見たら、たぶん絶対忘れないだろう、
これ以上ないってくらいの、印象深いそんな『美少女』。
まだ、幼さを残している小柄で華奢な体。
セーラー服から見え隠れする素肌は、どこもかしこも抜けるように白くて滑らかで。
春の優しい風に吹かれてサラサラと舞っている、色素の薄いストレートの長い髪も。
長いマツゲに縁取られた、ライト・ブラウンの大きな瞳も。
丸みを帯びた頬のラインも。
可憐な、ピンクの唇も、何もかも。
本当に綺麗で、
まるで『天使みたい』だって、そう思った――。