好きだと、言って。①~忘れえぬ人~
「ねえ、どうしたの?」
少しためらった後、私は、その子に声をかけてみた。
なんだか、困っているように見えたから。
「え? あ、あの……」
そう言って、彼女は恥ずかしそうに、白い頬をポッと上気させた。
うわっ。
色が白いと、ほっぺってピンク色に染まるんだ。
可愛いーっ!
それに、澄んだハイトーンの声も、まるでアニメの主人公みたいに可愛いすぎっ!
本当に、こんな子って居るんだなぁ。
高校入学時には、身長168センチ。
ひょろひょろと、背ばかり伸びるのがコンプレックスだった私は、小柄な子を見ると何だか嫌~な気分になるんだけど、
ここまで可愛らしいと、いっそコンプレックスなんて感じない。
しっかし、ホント、お人形さんみたい。
思わず、彼女の美少女具合に感動していると、彼女がすっと右手を上げた。
「あの人の名前、分かりますか?」
「え? どの人?」
彼女の白い指先が指し示す方に視線を巡らせた私は、そこに良く知っている二人連れを見つけて、ちょっと驚いた。
そこに居たのは、三ヶ月年下の従弟の浩二とその親友、伊藤貴史くんだった。