好きだと、言って。①~忘れえぬ人~
「おーい、亜弓、何してるんだぁ? もう、入学式始まるってよ!」
「今行くよー!」
浩二に大きく手を振り、私は彼女に向き直った。
「あ、私は、佐々木亜弓。よろしくね!」
右手を差し出すと、彼女は一瞬驚いたように目を見開き、再びその頬をピンクに染める。
そして、零れるような笑みを浮かべた。
「わたし、三池ハルカです」
『ペコリん』
そんな表現が似合うような可愛いらしいお辞儀をして、彼女は小さな白い手を差し出し私の手に添えた。
ギュッと握ったその手は、とても小さくて、とても柔らかかった――。