好きだと、言って。①~忘れえぬ人~
病院に着いたのは、午前十時を少し回った頃。
私と直也は、受付で教えて貰った二階にある『集中治療室』に向かった。
そこで、ハルカは治療を受けているという。
気ばかりが急いて体が付いていかず、足がもつれて転びそうになってしまう。
そんな私を、直也が傍らで支えてくれる。
一人じゃなくて、良かった。
私一人だったら、無事病院に辿り着けるかも、怪しいところだ。
ドキドキと、大きくなるばかりの不安を胸に、一歩一歩足を進める。
集中治療室のドアの前。
壁際に置かれた長イスには、おそらくはハルカのご両親だろう、中年の男女が肩を寄せ合うように座っていた。
そして。
その傍らには、ドアをじっと睨み付けるように佇む浩二がいた。
その横顔には、明らかに疲れの色が見て取れる。
それどころか、この一週間で、またやつれたように感じた。
――ダイエットなんて、嘘ばっかり言って。
本当、バカなんだから……。