好きだと、言って。①~忘れえぬ人~
対する、私はと言えば。
『スラリとしている』
なんて聞こえは良いけど、背高のっぽなだけで貧相なスタイル。
いったん寝癖が付くと、なかなか直ってくれない、頑固者のセミロングの髪。
強いて言えば丸顔に近い顔の土台に乗っているのは、父譲りの少しタレ加減で奥二重の目。
高くも低くもない、ごく普通の鼻梁。
一歩間違えば、『たらこ唇突入』の、少しぽってりした、唇。
と、まあ、自分で分析してみても、良く見積もって十人並みの容姿でしかない。
その私からすれば、礼子さんは、まるで『ビーナス様』のように思える。
正に、愛と美の女神。
その上。
仕事もバリバリこなすし、性格もさっぱりしていて嫌みがない。
やることなすこと平均ラインギリギリの私には、お手本のようなスーパーOL。
私の、密かな憧れ、理想形だ。