好きだと、言って。①~忘れえぬ人~
いったん実家に戻った私は、久々に母の手料理でお昼をすませたあと、浩二の運転する車で中央病院に向かった。
浩二に会うのは、お正月以来。
まだ半年くらいしか経っていないのに、少しばかり浩二の雰囲気が変わったような気がする。
サッカーで鍛えただけあって元々太っている方じゃないけど、頬のラインがシャープになっているし、
何だか全体的に一回り痩せたような、そんな感じ。
髪を、短くしたせいもあるのかもしれないけど。
短いツンツン頭は、まるで高校生の頃に戻ったみたいな錯覚を覚える。
『にやけた顔をしている垂れ目のツンツン頭』って言えば、大抵の同級生には浩二だって分かったものだ。
それにしたって、やっぱり大分スリムになっているような気がする。
「何だか、浩二、痩せたんじゃない?」
思わず、そう聞いてしまった。
「サッカーやらなくなってから、下っ腹に肉が付いてなー。
女の子がぽっちゃりしているのは好きだけど、男のぽっちゃりは許せないんだ、俺。
だから、ダイエットしてんの」
と、浩二は、もともと垂れ加減の目尻に笑いじわを寄せて、カラカラと笑った。
けど、その笑顔にも、いつもの覇気がない。