好きだと、言って。①~忘れえぬ人~
「ええええっーーーっ!?」
なんで!?
なんで、伊藤君!?
ちょっ、ちょっと待って!!
思わずベッドから跳ね起きた私は、窓の所まですっ飛んで行って庭を見下ろした。
忙しなく走らせる視線の先には、見覚えのある、大きな四輪駆動車が停まっている。
濃紺と灰色のツートンカラーのボディ。
昨日、伊藤君が病院に乗って来ていたのと、同じ車だ!
や、やっぱり、伊藤君っ!?
右往左往しつつ超特急で身支度を整え、一気に階段を駆け下りた。
「い、い、伊藤君っ!?」
居間のちゃぶ台を挟んで、母と談笑しながら麦茶を飲んでいるのは、間違いなく伊藤君だった。