好きだと、言って。①~忘れえぬ人~


せっかく海に来たんだから、やっぱり食事は『海の家』よね!


と、探してみたものの、ちょうどお昼時でどこも満員御礼。


『二時間待ち』とかいう、とんでもない事態になっていた。


で、結局。


屋台で買ってきた、焼きそばとホットドックと焼きトウモロコシが、本日のお昼のメニューになった。


「本当に、昼飯、これでいいのか? 探せば、近くにファミレスぐらいありそうだが……」


気を遣ってくれる伊藤君に、私はブンブン頭を振った。


「いい、いい。ぜんぜんオッケーよ。私、こういうの大好きなんだ。それに、こうして風に吹かれて食べるのも、気持ちいいし」


伊藤君と二人。


浜辺に座って、ピクニック気分で焼きトウモロコシを囓った。


焼いたトウモロコシ本来の甘みを、醤油ダレが絶妙に引き出している。


うん、美味しい!


空は青いし、海は広いし、風は心地よいし、焼きトウモロコシは絶品。


隣には、伊藤君。


これ以上のご馳走なんて、きっと、どこを探しても見つからないよ。

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