好きだと、言って。①~忘れえぬ人~
この、鳩尾の底からふつふつと湧き上がる感情。
この怒りを、どうしてくれようか。
――あんのヤロウ。
この従姉様を、どこまでタバカれば気がすむんだっ!
こんなことをして。
裏でこそこそと画策されて。
私が、喜ぶとでも思っているのか、あのバカはっ!?
伊藤君から見えないところまで来て、バッグから携帯電話を取り出して、浩二の携帯へ電話をかける。
でも電源が切ってあるのか、虚しいアナウンスが流れるばかり。
すぐさま、浩二の家、おじさんちにコールする。
『はい、佐々木です』
「あ、おばちゃん! 浩二いるっ!?」
『あれ、亜弓ちゃん。浩二なら、今日は朝から出かけているけど?』
「どこに行ったか分かる!?」
『さあ……。友達の所へ行くとかいってたけども、詳しくは聞いてないねぇ』
「……そっか、分かった。じゃあ、またね!」