*powder snow ~空に舞う花~*


けど、こんな会話が出来たから 聞き出せないままだった電話をかけた根本的理由を思い出した。


「あー、のさ
昨日なんで来た??

かなり失礼かもだけど…オレらどっかで会ったっけ??」


記憶の糸を辿っても千雪の姿は見つからなかった。
ただ、オレが忘れてるだけならゴメンだし…
それが分かったら少しずつ、千雪に対する疑問で絡まった糸がほどいていけるんじゃないかって。





『…ホント、失礼ね』

クスリと笑った声。
でもその声はさっきまでの無邪気な明るさじゃなくて、静かに微笑んだような、そんな声だった。

呆れ顔、してるだけか??




「ゴメン。けど…」



分からないんだよって言おうとしたその時、千雪の声が重なった。



『思い出さないで』



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