*powder snow ~空に舞う花~*
「…え??」
意味が、分からない。
ただ、千雪の声は静かなままだったから
そのまま耳を傾けた。
『昨日会いに行った理由は…昨日言ったお願いをするため。
忘れちゃった??』
「いや…」
『私がムチャクチャなこと言ってるって、分かってる。
だからこんな私のことを無視するのなんて当たり前だよ。
なのに海斗がこうして連絡くれたことが奇跡みたいで、もう充分って思えるくらい嬉しい』
「……」
見上げたすっかり葉桜の並木から
どこからか
ひとひらだけ
薄い桃色の花びらが風に乗って ゆっくりと舞い落ちた。
忘れないで。
そう、言ってるような
そんな、気がした