*powder snow ~空に舞う花~*
恨んだ。
『タカハシ』そいつのせいでオレは…って。
見舞いに来た時は、殴り殺してやりたくて
でも、骨折した手や足を拘束されていたオレには出来なくて
どこにもぶつけられなかった怒りを
物や、言葉や、態度にするしかなかった。
オレがリハビリしてる時も、『タカハシ』はのうのうと暮らしているのかと思ったら どうしようもないくらいの怒りを覚えた。
やっとの思いで退院した時、『タカハシ』を殴りつけに行ってやろうかとも思った。
けど……
ムキになるガキみたいにはなれなかった。
許してやれるほど、大人な寛大な心だったわけじゃない。
殴りつけに行って、罵声を浴びせるのくらい簡単だった。
けど…殴りつけたって
足も、時間も、地位も、なにもかもが元には戻らないことが
ガキのオレにも、やけに冷静にわかっていたから。