*powder snow ~空に舞う花~*



長い間遠ざけていたこの場所に
ふわりと春の風が吹いた。



「また…来るよ」

笑うなよ。
目に少しゴミが入っただけだ。


背を向けて、歩き出した。


不法侵入?
…まぁな。こんな夜に来てんだから、否定はしねえよ。



正門はもうすっかり鍵が締められているけど

知ってるんだ。

オレのいた頃から全校生徒全員が帰ってから、正門と一緒に閉められる裏門には鍵がかかってないって。

といっても、
今も鍵が閉められてないなんて知らなかったから、ちょっとした偶然。



こっそり入ってきた裏門へ戻ろうと、青いフェンスを通り過ぎた


その時だった…――





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