*powder snow ~空に舞う花~*


空に向けた指先をそっと下ろしたからオレもつられて顔を下ろした。


その指先をたどった先には少し困ったように千雪が笑っていた。



「今は……」

言葉は紡がないけど、千雪は左右にそっと首をふった。



「あきらめた?」

千雪もオレと一緒??
そんな、バカな事を思う。



「そうかもね…」



泣きそうな千雪の瞳からより先に
空からポツリとひと粒の雫がおちた。



「…雨っ??」

今日雨降るなんて天気予報言ってたか!?


空をもう一度見上げたら、さっきまでキレイに見えていた月は雲に隠されてポツポツと雨粒が降ってきていた。




「とりあえず…」


傘持ってねぇし、ここには屋根もない。


屋根のある校舎脇で雨宿りをしようかと立ち上がった。



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