*powder snow ~空に舞う花~*
*5*存在価値side CHISE



「千雪…ごめんね。」


今でも思い出す。中学一年生の冬の日に、お母さんが出て行った。



「千雪、オレはまた来るから。
体、ムリすんなよ?」

お母さんと一緒にお兄ちゃんが出て行った。


けど、お兄ちゃんはずっと帰ってこなかった。





中学二年生の冬、一年ぶりにお母さんから連絡があったのは
警察からの電話だったからビックリした。



飲酒運転だって。
ずっと優しくて真面目だったお兄ちゃんがそんな事を起こすなんて…。





「お前はなにしてんだ!」

「私だって、働いてて忙しいのよ!」

「母親としての仕事はしてないだろ」

「あなただって、仕事仕事って父親として幼い2人の面倒なんて見なかったじゃない!
それにお兄ちゃんは、もう成人してるのよ!?そんな細かくなんて面倒みないわよ!」

「オレは千雪の病気をだな…!」

「あなたはいつも『千雪千雪』って!お兄ちゃんのことなんて考えなかったじゃない!!」




病院の待合室でお父さんとお母さんのケンカ。






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