*powder snow ~空に舞う花~*

朝のチャイムが鳴る頃、あんなにいた大群衆がいつの間にか消えていた。

「千雪!?なにボーっとしてるの?
私たちも教室行こ??」

みんな行っちゃったよ~なんて付け加えて茜たちが昇降口を指さす。


「あ、うん!」

私も足早に歩き出して…フッと自転車置き場を見ると
エナメルのスポーツバッグを肩にひっかけて自転車にまたがりながら、友達と話している海斗がいた。



分かってる…。

『朝日奈海斗』は、
私には、手の届かない遠い存在。
…ライバルがたくさんいるからじゃない。
きっと、見ている世界が違いすぎるだけ。。





小さい頃から病院や自宅で…ただでさえ両親には病気で迷惑かけっぱなしなんだから、ワガママなんて言えなかった。

大人の間で過ごしてきた私はきっと、物わかりがいい方だと思います。。


だから…分かってる。


その笑顔の前に
私は立てないって…。




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