*powder snow ~空に舞う花~*
思ったよりも随分早く目当てのバスが停車した。
プシューっとエアー音にすら、ちょっと足が震える。
「…大丈夫」
呼吸を深く吸い込んでからバスに乗り込んだ。
車内は空いていて、後ろから二番目の窓際の席に静かに座って、流れていく景色を見ていた。
今、私がしていることがどれだけムチャなことかなんて…分かってるよ?
お父さんにバレたら怒られるなんて、当たり前すぎて考えもしない。
それでも……
“もしも”の時の為に、GPSを搭載している携帯の電源を切ったことにも躊躇なんてなかった。