=Dear X'mas=【短編集】
Silent Nightに願いをこめて
「ねぇ、どんな男性(ヒト)かしら?」
「背が高いって言ってたよ」
リビングに座りながらママが弟とヒソヒソ話…
もう……聞こえてるってば……
『しょうがない、私がやるしかないわね』
えっと、CARDにはちゃんと指定時間を書いたわよね。
時計を確認すると、約束まで後、3時間あまり。
『間に合うかしら…』
ママに借りたエプロンをギュッと締めてっと。
今日のシェフは私に任せて♪
『頑張らねば!』
さぁ、腕の見せ所よ!!
指差し確認。
オーブンはOK。
ケーキのデコは……
うん、揃ってる。
あっ♪ワインを冷やさなきゃ。
『慌てない、慌てない。恋心が浮かれてる』
魔法のスパイスを七面鳥に…
気がついたらパパが2階から降りて来た。
ソワソワ感が隠せないわね…
そうこうしている間に、サラダが完成。
いつの間にか、ママがミニシェフのお手伝い。
綺麗に部屋を、飾り立てたのは弟。
みんなが、私の気持ちを後押ししてくれてる。
大事な、大事なお客様。
スペシャルディナーも揃って、時計を見る。
ピンポーン♪
同時にベルが鳴った。
出迎える、最高の笑顔。
この恋、きっと上手くいく♪
=fin=