亡國の孤城Ⅲ ~バリアン・紲の戦~
国家再興へは、隣国フェンネルの女王陛下であるローアン自らもわざわざ足を運んで来てくれていた。
国家の基盤造りでは、彼女の意見は非常に革新的で一切の無駄が無いものばかりで、ローアンの王としての素質には、あのノアも褒め称えていたものだ。
次第に、無人だった城にも人の出入りが見られる様になり、過去の政治を見直して政の基盤を固めると、レトというデイファレト王の国政をより良い方向へと築き上げていくべく、政の知識と意欲を持ち合わせた人物をあちこちから集めていった。
遠方からわざわざ足を運ばせるのは忍びないと、城内、もしくは敷地内に彼等の住居を建てる。
人が増えて住み始めるとなると、暮らしやすくするために家事全般がこなせる人が必要となる。
必要に応じてその都度臨機応変に事を成していけば、気付けばあんなに静かで闇が巣くっていた城は、神聖さはそのままに大勢の人々で満ちた明るい場所となっていた。
化け物が棲む禁断の地として恐れられていた当時の面影は、何処にも無い。
三年経った今でも、国家再興はまだまだ継続中である。
昔に比べてある程度は暮らしやすい国になったのかもしれないが…問題は山積みだ。
その中の一つに、レトはもう随分前から頭を悩ませている。
…それは、大昔のデイファレト王の時代からズルズルと引きずってきた問題。
狩人との、共存である。