亡國の孤城Ⅲ ~バリアン・紲の戦~
…敵意も何も感じない。
害は無いのだろうかと半信半疑のまま、ライは再び訪れた緊張感に何度目になるか分からない深呼吸を、ここで一つ。
「……せー…っの…!」
恐る恐る…摘まんだ布を、膨らみの中程まで…勢いよく捲りあげた。
埃臭い空気が煽られ、視界は一瞬細かな塵や埃で覆われる。
薄暗がり。
狭い空間の隅の隅。
その限られた小さな世界で。
……ライは、夜を見た。
夜の様な、光も通さない漆黒を、見た。
もうじき訪れるであろう、夜の帳に似た美しい色を、見付けたのだ。
黒。
真黒。
深い深い、闇色。
床一面に水面の様に広がる綺麗な長い髪は、見たことも無い程暗い、吸い込まれそうな夜の色を帯びていた。
その下に覗くのは、それとは真逆の透き通るような白い肌。本当に透けて見えるのではないかと思える程に、その肌は白く輝いていた。
唖然と見下ろすライの目下には、そこには、少女がいた。
小さな寝息を立てる少女が、胎児の様に丸くなってそこにいた。
害は無いのだろうかと半信半疑のまま、ライは再び訪れた緊張感に何度目になるか分からない深呼吸を、ここで一つ。
「……せー…っの…!」
恐る恐る…摘まんだ布を、膨らみの中程まで…勢いよく捲りあげた。
埃臭い空気が煽られ、視界は一瞬細かな塵や埃で覆われる。
薄暗がり。
狭い空間の隅の隅。
その限られた小さな世界で。
……ライは、夜を見た。
夜の様な、光も通さない漆黒を、見た。
もうじき訪れるであろう、夜の帳に似た美しい色を、見付けたのだ。
黒。
真黒。
深い深い、闇色。
床一面に水面の様に広がる綺麗な長い髪は、見たことも無い程暗い、吸い込まれそうな夜の色を帯びていた。
その下に覗くのは、それとは真逆の透き通るような白い肌。本当に透けて見えるのではないかと思える程に、その肌は白く輝いていた。
唖然と見下ろすライの目下には、そこには、少女がいた。
小さな寝息を立てる少女が、胎児の様に丸くなってそこにいた。