あなたの隣



新坂駅から5つ先の落合駅で降りる彼は、偶然あたしと一緒だった。


ドアが開き、彼は先に電車を降りた。

「あ、待ってっ!!」

彼を追いかけようと急いで電車を降りた瞬間、腕から滑り落ちた鞄に引っかかって転んでしまった。

ドタンッ!

「いっ…いったぁ…。」

ザラザラのコンクリートで擦りむき、膝からポタポタと血が流れた。

また今日も失敗…。
いつになったら喋れんのよっ……。

はあ…と深く溜め息をつき、立ち上がろうとしたその時だった。

「大丈夫…?」

聞き覚えのない、少し低めの声が聞こえた。

バッと顔をあげると、そこには中腰になった彼が、あたしの前に立っていた。
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