あなたの隣
鼻筋の通った高い鼻。
少し茶色がかった髪。
奥二重の切れ長な瞳。
整った口元。
無駄肉のない、引き締まった肩。
間近で見れば見るほど、あたしは彼のかっこよさに圧倒されていた。
「…ん?どした?俺の顔に、何かついてる?」
「い、いや!何もついてないですっ!あ、あの…声をかけてくれて…ありがとうございました」
深々と頭を下げると、彼はニコッ笑った。
笑った顔はすごく優しくて…。
あたしはまたドキンと胸を高鳴らせた。
「次からは、こけないようにしろよっ。あと、このタオル使っていいから」
彼はそう言うと、あたしに水色のタオルを渡してくれた。
「え…っ!でも、タオルあたしも持ってるのでいいですよっ!」
慌て返そうとしたが、彼は、
「じゃあなっ」っと一言だけ残し、走っていってしまった。