あなたの隣
第2章 近づく距離



ヤバい…。

どうしよう…。

「あ~もうっ!!無理無理無理!」

「だから~!普通に返せばいいじゃん!」

「それが無理だから今こうやって悩んでんじゃんか!」

バンッと机を叩くと、親友の伊戸壱華<イトイチカ>は大きな溜め息をついた。

「あんたねぇ…そのタオル貸してもらったの、いつか覚えてる!?」

「一週間前だけど…」

口ごもって言うと、壱ちゃんはあたしと同じように机を叩いた。

「そうでしょ?じゃあそのタオルはいつ返すの!?」

「明日返すってば…」

「その言葉には聞き飽きたわっ!この一週間、そればっか言って結局返せてないじゃん!」

うっ…。
言い返したいけど、図星で何も言えないあたし。

そうなのだ。
水色のタオルを貸してもらって以来、返せるチャンスはあったものの…。

結局、ダメ。

あたし、結構消極的かも…。

あたしは俯き、手に持っていた水色のタオルを握りしめた。
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