あなたの隣
「ねぇねぇ律っ!」
かなりニコニコな顔であたしの名前を叫ぶ凜。
何かあったのか…。
「どうしたの?」
「聞いてよ!聞いてよ!」
「うん、聞いてる」
「あのね…!ジャジャーン!!」
変な効果音をつけながら、凜は鞄から二枚の紙切れを取り出した。
「何?それ?」
「よくぞ聞いてくれました!これはね、今話題の"あなたの隣"ってゆー映画の無料鑑賞チケットなのだ!」
…………。
「ふーん。で?」
「ふーんって…。律冷たいっ(泣)だから、一緒に見に行こうよっ」
凜はうるうるの瞳であたしの手を握った。
「い、いつ?」
「今週の日曜日!」
日曜日か…。
日曜なら暇だし…。
たまには凜にも付き合ってやろうかなっ!
「分かった!いいよ」
ニコッと笑い、凜を見ると、
「ありがとーお!律、大好きだー!!」
大声で叫びながらあたしに抱き着いた。