恋
「遥汰、明日デートしようよ」
さっきから付きまとってくる女は、今日泊まりに来ればとか言ってた、相馬雅だ。
そいつがまた付きまとってきた。
「行かねーよ、あしたは仁志の家に行く」
仁志の家…
そう聞いた女は、少し悲しそうな顔をした。
それは一瞬だったけど、確かにした。
「…そんなに、深晴ちゃんがいーの?私、遥汰の彼女だよね?」
少し涙目になった雅は、 俺の服をつまんで揺すってきた。
「雅と付き合った覚えはない、勝手に彼女になんな」
「じゃあ、なんでキスしたり、それ以上のことしたりしたのよ!」
「好きじゃなくたってするだろ?それに俺はお前に好きだ、付き合ってくれなんて言ってない」
雅の顔はみるみる赤くなり怒りが滲み出ていた。
その時、パチンと乾いた音が教室に響いた。
「…最低、大嫌い」
「そりゃどーも」
雅は、俺にビンタして逃げるように教室を出ていった。
教室中の視線が俺に突き刺さる。
「遥汰大丈夫?あいつが最低よ!遥汰殴るなんて!!」
そう言って同じクラスの1人の女子が俺の頬を触ろうとしてきた。
「…触んな、ブス」
「なっ!」
俺はその手をかわし、自席に戻った。