恋
その子が見えるのは
中庭の真上の窓。
いつも俺は、彼女を見るためにそこに昼頃行く。
軽く変態だ…って言う奴もいるけど、そんなことどうでもよかった。
その、いつもの場所につくと、いつもの奴がいた。
「仁志」
「ああ、また来たんだ。遥汰」
「来ちゃ悪いか」
仁志は、彼女の、八巻深晴の兄だ。
俺と仁志は、俺が彼女に恋をする前から友達だった。
「俺の妹のどこがいーんだ?静でお前には合わないと思うぜ?」
「……」
確かに、彼女、八巻深晴は物静かで、優等生ぽくて
チャラチャラしてる俺とは不釣り合いだ。
自分でもそう思う。
でも、彼女のあの、遠くを見つめるような瞳が頭から離れなかった。
「いーんだよ、つーか早く紹介しろよ」
「…お前がいーならいいけど、紹介はまた今度な」
そう言って、仁志は妹の所へ向かっていった。