恋
中庭に着くと、なんとなく髪型が気になって整えた。
「これが俺の妹の深晴」
「深晴ちゃん?よろしく」
深晴ちゃんと呼んだのは、これが初めてでなんとなく緊張していた。
「お兄ちゃん、私帰る」
「おい、待てって!」
「私、暎以外の人とは話したくない」
「こいつ、いーやつだから話してみろよ」
「嫌!」
……
あー、そうか。
この子が、西木暎の彼女だったんだ。
「深晴ちゃん、俺如月遥汰。よろしくね、今日は俺が帰るよ」
俺はそう言って自分のクラスに戻った。
「お兄ちゃん、もうああいうことしないで…」
「……」
「私はどうしたって気持ちに答えてあげることはできないんだから。」