空悟~大切な君~
俺が助かれば空悟が死ぬ。空悟が助かれば俺が死ぬ。それは確実で、決して変わりはしない。
そして、父さんがやっと俺と向き合った。
「海斗、あの世行きを父さんに譲ってくれないか?」
「父さん…」
譲ってくれと言われても、決めるのは俺じゃなくあの侍だし。それに、
「それは出来ないよ」
「何でだ!?」
「俺はまだ子供だよ?父さんがいなくなって、空悟と二人で生きていく自身はない。だから、俺があの世に行く」
「海斗…」
俺は立ち上がって広い海を見つめた。
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