空悟~大切な君~
次の日の日曜日。俺にとって最後の日。
俺達は旅館に泊まって、朝早くから山に登った。頂上には、父さんの思い出の場所である小高い丘があるらしい。
あれから父さんは俺の事を何も言わなかった。だから俺も何も話さなかった。父さんの中で覚悟が決まったのか。
緩やかな上り坂を歩き、俺は空を見上げた。
とてもいい天気で、木の葉が日の光でキラキラと輝いている。こんなに美しい世界とも、もうすぐお別れだ。そう思うととても寂しい。
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