空悟~大切な君~
そして父さんは俺の頭をポンポンと軽く叩き、
「いい男になったな…海斗。お前、カッコ良すぎるぞ。お前は世界でたった一人の俺の自慢の息子だ」
「……」
父さんは俺の頭から手を離したけど、俺は泣き顔を見せる事が出来なかった。
父さんの言葉が、父さんの手の温もりが、あの世へ行く事を拒ませてしまう。
「海斗、最後に俺に出来る事はあるか?」
その言葉に俺は何も言わず、ただ首を振った。もう父さんには充分優しさを貰った。それだけで充分だった。
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