空悟~大切な君~
昨日の苛立ちがまた押し寄せて来る。父さんも皆、空悟の味方なんだ。
「俺は、空悟の泣き声聞いただけで頭が痛くなって、けど空悟はそんなのお構いなしで泣き続ける。あいつだけがわがままを言って、俺だけが我慢してる…。もうそんなの嫌だ!こんな事なら、母さんじゃなくて空悟が死ねばよかったんだ!」
その瞬間、俺は父さんに初めて頬を叩かれた。
「……」
痛いとか、叩かれてショックを受けたとかではなく、父さんに叩かれた事とこんなに怖い顔をしている父さんを見た事がなかった。
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