空悟~大切な君~
父さんが俺を立たせようと肩を掴むが、俺は父さんの腕を掴んで喉が痛くなるほど叫んだ。
「俺のせいで空悟が――!俺が空悟を置き去りにしたから、空悟が――!」
「違う!誰もお前を責めたりしない!」
父さんの声が聞こえない。聞こえるのは元気な笑顔で「兄ちゃん」と呼ぶ空悟の声。俺はその声も笑顔も、奪ってしまった。
「俺のせいだ…俺のせいで空悟は…。俺のせいだあああああ!!わあああああ!!」
「海斗!」
ごめん。ごめんなさい。
心の底から何度も謝るから、俺を許して下さい。そして、空悟を助けて下さい。
< 49 / 136 >

この作品をシェア

pagetop