空悟~大切な君~
「――!?」
振り向くと、部屋には誰もいなかったはずなのに、ドアの前に一人の侍が立っていた。
真っ白な着物に腰には一本の刀。優男風なそいつの髪は着物と同じく真っ白。
「誰だ…お前…」
俺は恐る恐る聞いた。侍はそこから一歩も動かず、口だけを動かす。
「拙者はあの世から来た鬼侍」
「あの世…?鬼侍?」
何言ってんだこいつ?ここは病院だから変な奴がいてもおかしくないが、こいつは明らかにおかしい。それに患者ではなさそうだ。
< 52 / 136 >

この作品をシェア

pagetop