空悟~大切な君~
部員も応援に来ていた親達も、もう皆帰ってグランドには俺達とベンチで寝ている空悟だけで、静かだった。
「旅行、どこ行くんだ?」
ボールを投げながら純太が聞く。俺はボールを受け取りながら答える。
「今日はまず海に行く。で、明日は父さんが昔よく行ってた山」
「へー、いいな」
そこで会話は途切れ、俺達はキャッチボールを続けた。俺の投げたボールを純太が受け取り、純太はそのボールを投げて来なかった。
「純太?」
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