sky!!
優。優しい子に育ちますように。ちょうど十七歳前に両親が名前をあたしにつけた。

「誕生日おめでとう!まぢ優最高ー!!」

あたしのマブダチの愛美は、会ったとたんいきなり叫びだした。

「バカ愛美。…でもありがとう。」

あたしは笑った。恥ずかしかったけど、嬉しかった。
意味の分からない行動ばっかで、そんな愛美がすごく好きだった。


「ハメられた…。」

誕生日から8日後。あたしが愛美だと思い、会おうとした相手が今目の前にいる。昨日愛美から電話で明日会おうって言われた…が、あたしはやっぱハメられた。

「え?なに?話はついてるから大丈夫。」

目の前のメガネのオタク顔の男は言った。大丈夫?何がだよ。全然大丈夫ぢゃないよ。

「大丈夫ぢゃない!何の話か知らないけど、あんたの相手なんかしないから!」

あたしはきつく言った。そして、振り返り帰ろうとした。
すると、男はあたしの手をつかんできた。

「困るよー。お金、払ったんだからさ。」

「…金?」

全てが凍りついた気がした。

「そうだよー。優ちゃんのためにお金払ったよ?」

男はニヤニヤしている。

「…ごめん。金返すから今日は勘弁して。」

「えー…。」

「お願い!」

あたしは必死に頼んだ。
分かってる。このままだとどうなるか。こんなやつとヤるのは絶対嫌だ。

「仕方ないなあ。五万だよ。」

財布の中に誕生日にもらった五万がちょうどあった。もったいないけど、自分のため…。

「はい。」

「…うん、ぴったし。バイバイ。またねー。」

男は陽気に言った。キモい。信じられない。そして、憎い。
あたしは走った。ひたすら走った。信号なんて目に入らない。あたしの目に浮かぶのは…愛美の顔だけ。
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