【完】透し予知能力者
『総一郎さんはお手伝いをしてあげたかったの…お祝いもしてあげて…旅行にも行きたかったみたいですよ!今まで何もしてやれなかった分…少しでもって…』




『旅行…?そう言えば…旅行会社の本をよく見ていたけれど私には何も言わないからてっきり自分1人で行くのかと思っていたわ…』




『違いますよ!総一郎さんはなかなか…誘えなかったみたいです!トシ子さんに怒られてばかりいたから…』





『だってあの人が私のことを怒らせるから…』





『不器用なんですよね…なれないことをして失敗ばかりしていた総一郎さん』





『もう…何度私をイライラさせたことか!』





『でも…一生懸命トシ子さんのためにって頑張っていたんです!』





『それを私は理解してあげられなかった…』





『最後の最後までトシ子さんに謝りながら亡くなってしまったんですよ…うぅぅ…』
私もまた涙が…





『うぅぅ…あの人本当に一生懸命でね…学校でもやったことのない野球部の顧問になって監督としてやっていたりしたんだけど…毎日遅いし…休みの日も部活だって家にいることがなかったわ…でも市の大会で優勝したり子供達にも好かれたりして…本当に頑張ってやってるんだなって思っていたのに…私ったら…うぅぅ』





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