キミを抱く


アヤナカラ
レンラクキタカ?

一瞬ビクッとなって
森くんに
気づかれなかったか
彼の方を見たけど

森くんは森くんで
いっぱいいっぱい
なんだろう

こんな短い質問が
森くんの精一杯

小さく息を吐き

「来ないけど
なんで?」

冷静をよそおって
森くんを見つめた

「なんでって
お前
姉妹だろうが
彩菜だって
妹のお前に
何か連絡したって
不思議は……」

「姉妹ってだけだよ
それ以外
何もないもん
お姉ちゃんだって
私に連絡するくらいなら
森くんに連絡するって」

「そんなこと……」

「そうなんだってば!」

イラついた
私の大きな声に
森くんはひるんで
口をつぐんだ

しばらくの沈黙のあと
森くんは
静かに立ち上がり

「帰るわ」

部屋を出て行った

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