七色の想い
♪〜♪〜♪
「ん?電話?」
「いや、メール。」
鞄の中からストラップ一つ付いてないシンプルな携帯を取り出して、画面を確認した。
「……。」
「どした?」
「悠太から。」
「まさか『一緒に帰ろう〜』とか?」
「そのまさか。」
「悠太君、積極的だね〜…。……あ、本人。」
「えっ!?」
二人の視線の先には、メールの送り主である宮原悠太が手を振りながらゆっくりと近づいてきた。
「よ!」
「よ!悠太君。七海と帰るの?」
「おう。だからさっき七海にメール送ったんだけど、もしかして二人で帰る約束してた?」
「ううん、私これからバイトだから早く行かなきゃ!じゃあね、七海!悠太君!」
「え、ちょっ…優莉!?」
優莉はそそくさと早足で帰ってしまった。
今日は優莉と駅前に新しくできたカフェでお茶をするはずだった。
けど、あたしと悠太に気を遣ってか、嘘をついてまで二人きりにさせてくれた。
(悪いことしちゃったな…。優莉、カフェに行くの楽しみにしてたのに。)
………。長い沈黙。
最初に沈黙を破ったのは悠太だった。
「なんか池上に悪い事したな。あとで謝ろう。」
「あ、いいよ!後であたしから電話して謝るから!」
「いや、俺も後で一緒に謝るよ。」