白い吐息
真人は驚いて目を丸くしていた。
自分でもビックリした琴は耳を赤くして手で口を蓋した。

「…琴子?」

「違うの…」

今度は極端に小さくなる琴の声。

「何?」

真人は琴の顔を覗き込んだ。

目を合わせる2人。
琴の鼓動はピークに達していた。

何から言えばいいの…

何から…


「大丈夫?」

真人の優しい言葉に張り詰めていた琴の心の糸が音をたてて切れた。


「好き…」


真人を見つめて呟くように弾けた。


「……え?」


「私、真人が好き」


「こっ琴子…本気?」


「本気…」

琴の顔全体がピンク色に染まっていた。

潤んだ瞳が真人だけを映している。

「……」

たちまち真人もピンク色に色づき、言葉を失った。

差し込む夕日が2人の背中を熱くする。
でも、それだけじゃない。
真人は自分の額に手をあてた。

「これって…熱じゃないよね…」

真人はもう片方の手の甲で琴の頬を触った。

「私も熱い?」

琴の顔から教師としての表情が消え、何となく声も甘く幼く聞こえる。

「…うん…」

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