白い吐息

「そう、似てるの…」

琴は目を閉じて話を真剣に聞いてる真人の横顔を見つめた。

「その先生…白衣着てたんだっけ?」

「うん」

「英語教師なのに?」

「白衣着てたらモテるからとか、冗談っぽく言ってけど、真相は謎のまま」

「そっか…」

「でも私は、そんな不思議なことする先生が好きだったの…。白衣マジックにみごと引っ掛かったみたい。…だから…」

琴はスーっと息を吸い込んで、目を閉じながら吐き出した。
互いに瞳を隠す2人。

「だから…?」

「この間、真人が白衣着てたの見て…真人に先生を感じたの…」

「オレに…その先生を?」

真人の眉がピクリと動いた。

「実は、白衣のときだけじゃないの…」

唾を飲む琴。

「……」

「その先生もね、左利きだったの」

「オレと同じ……?」

少し震える真人の声が琴の耳に彼の表情を伝える。

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