白い吐息

「つまり、オレがその先生に似てるってことは、オレは琴子の超タイプってことだろ?」

真人は人差し指で琴の鼻先をついた。

「……」

琴は目が点になった。



「オレ、その先生に似ててラッキーじゃない?」

「……」

琴は口がポカンと開いた。



「オレ…どんな理由でも、琴子に好きになってもらって嬉しい」


真人…


「嬉しいよ」

はにかんで笑う真人。

鼻の下をこすり、頭をポリポリかく。


こんな気持ち…
どんな言葉で現せばいいんだろう…


真人は顔を真っ赤にして、目を泳がせていた。



言葉なんて…
みつからないよ…


琴の背中がドキドキと波をたてる。
その音が伝わるように、彼女は再び真人の手を握った。

「…琴子…」

真人の手からも伝わる心音。
2人は互いの脈を確認しながら見つめ合った。
顔を近付けて…。

「まな…」

真人の熱い息が琴の唇を震わせる。
琴はゆっくり瞳を閉じた。
その時だった。


ガラガラガラ…


突然開いた扉の音に固まる2人。
目を開けそっと視線をはわせた。


「…ごっ…ごめんなさい…タイミング悪かったわね…ハハ…」

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