白い吐息
『それは…』
『僕が憎かったからでしょ』
『……』
『僕の名前が…』
ボクノナマエガ…
「おはようございます」
琴が職員室のドアを開けた。
「あれ、長谷川先生。休みなのに今日は早いですね」
琴より1年先輩の女教師が驚いた様子で作製中のテスト用紙から顔を上げた。
「田口先生、それって嫌味ですか?」
わざと問い掛ける琴。
が、顔はわらっている。
「違いますよぉ〜」
「どうかな?」
この田口という教師は根っからの天然で教師たちの中では、いわゆるイジラレキャラである。
でも琴と歳が近いにも関わらず仕事は完璧にこなすので、その点では一目置かれていた。
琴が関口先生の次に信頼できる人物でもあった。
「長谷川先生もテスト問題作りですか?」
琴は自分の席に荷物を下ろすと首を横に振った。
それを見て、興味深々面をした田口先生が小走りに琴のもとへやってくる。
他にも数人の教師が居たが、テスト問題作製に集中しているようだった。
「今日は何しに?部活は休みですよね」
ニコニコ笑顔が可愛い田口先生。
「お見舞いです」
「お見舞い?」
「森下先生の所に…」