白い吐息
「森下先生の所に行くんですか?!」
「田口先生!声でかい!」
そういう琴も大きな声だった。
「まさか…長谷川先生は森下先生が好きなんですか?」
今度は耳元でボソッと呟く田口先生。
「違います!そんなんじゃありません!」
勿論、琴は全力否定。
「ですよねぇ〜…」
「クラスの子のことで聞きたいことがあるんです」
「真面目ですね長谷川先生」
いえいえ、私は教師失格です…
ずっと気になって眠れなかった…
真人の姿が目蓋の裏に貼りついてるようで…
彼を好きだと認めた瞬間から
私の中に恐怖が芽生えた…
好きな人を失う恐怖…
「トラウマなのかな…」
教頭から教えてもらった病院のロビーに琴は立っていた。
独り言を呟きながら住所を書いたメモ用紙をポケットに突っ込む琴。
携帯の電源を切り、入院受付のカウンターへ向かう。
「すみません。森下宏樹さんの病室、教えて頂けますか?」
本当は名前を口にするのも嫌だった。
全ては真人の為。
琴はどうしても気になることがあった。
「新館の7階になります。705号室、個室ですね」
こっ…個室…
最悪だ…
琴は思わずため息をついた。