白い吐息
ベテランで威厳のある関口先生、ミーハーかつ天然AB型の田口先生、何かと恐れられているこの2人を教師たちは密かにグチグチコンビと呼んでいた。

「でもあの子、彼氏いないって言ったんだ…」

独り言のように呟く関口先生。

「やっぱりいるんですか?」

田口先生は食い気味に尋ねる。

「さぁ…?」

「しらばっくれてます?」

「私も本当の所なんて解らないわよ。本人だってまだ解っていないのかもしれないしね」

そう言いながら関口先生は呑気にお茶をすすった。

田口先生はつまらなそうにイスをクルクル回転させている。

「私、長谷川先生は森下先生を好きなんじゃないかと思ってるんです。長谷川先生が否定したので、そのときは私も同意したんですけど」

真面目な顔で話す田口先生の言葉に思わずお茶を吹き出しそうになる関口先生。

「やだぁ〜…変なこと言わないでよ。それは絶対あり得ない」

関口先生は田口先生の顔の前で手をブンブンと振る。

「…そうなんですか…でもこの間の休みに病院にお見舞いに行くって言ってましたよ」

「教頭命令か何かでしょ」

「個人的な感じがしたんですよね…」

田口先生は首を傾げる。

「個人的?」

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