白い吐息
でも…
彼女を愛する気持ちに
嘘はない…
少し不自然なだけだ…
「好きだよ」
彼女も自分を愛してくれた
幸せなんだ
幸せなはずなんだ…
なのに何で
こんなに悲しい気持ちになるんだ…
琴子…
助けて…
『琴子…』
「今、呼びました?」
「えっ?」
「ごめんなさい。空耳かな」
琴は額の汗を拭った。
保健室で試験の採点に集中する琴。
傍らには関口先生の姿がある。
「白居くんの声でも聞こえた?」
「からかわないで下さい」
テスト用紙とにらめっこしながら突き返す琴。
「その後、彼とはどうなの?」
関口先生は琴を無視して話し掛ける。
「どうって、何もないですよ」
「何も?」
「だって、試験中だったんですよ。部活もないし…」
琴の表情にやや雲がかかる。
「部活か…」
琴は大きくため息をついた関口先生の横顔をチラっと見た。
何故か悲しそうな顔をする関口先生。
胸につっかえるものを感じた琴は赤ペンを置いた。
「田口先生から聞いたわよ」
「…何をですか?」
「あんた彼女に、彼氏はいないって言ったらしいじゃない」
「…はぃ…」