白い吐息
純愛 〜With〜
朝、目が覚めたら
君の寝顔が横にあった…


少しドキッとして目をくすぐる琴。
ベッドで寝息をたてている真人の横顔をベッドの脇で座って見ていた。
まるで子供を看病する母親のように。


あのまま寝ちゃったんだ…

夢じゃなかった。
昨夜の出来事。
彼は琴を尋ねてきた。
決死の思いで。



「助けて」と、切羽詰まった顔で真人は琴の腕を掴んだ。
琴が、どうにか真人を落ち着かせようと優しく抱き締めたら、彼はスーっと眠ってしまった。

大きなスポーツバッグは荷物で膨れあがっている。


安眠中の横顔。
何があったのかは分からない。

琴は真人の髪をなでた。


起きたら話してくれるのかな?


かすかな期待を持ちつつ、台所へ向かう琴。
歯ブラシをくわえて、冷蔵庫を開ける。
琴は生卵を取り出した。

ご飯、足りるかな?












『悪かったな、真人』

父さん…

『ごめんね、真人』

母さん…

『生きてるよ、兄貴』

皆人…

『真人ー!』

戸部…

『琴子…琴っ……』

誰…?

誰だっけ…?

琴子って…誰だよ…



「琴子…」

いい匂いだ…

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